about

この土地ではじまり巡る


toi designs

私たちは天然素材を暮らしに取り入れることで、大昔の人がどうのように自然と共に知恵を凝らして暮らしていたか、またそれはどういうことを意味しているのか、少しだけ想いを馳せることができます。私が素材や染色にこだわるのは、衣服には「人の肌に直接ふれる」という役割があるからです。着用することでそこにまつわる、素材や手仕事のストーリーも感じ取っていただきたいと願うからです。何度も重ねて色を出す天然染や、はぎれ布を再利用して縫繋くこと、織りなすこと。手から手へと続いていく物語は「衣服だからこそ、肌を通して伝えられる」。その可能性を信じています。

素材とカタチ

私たちの暮らしは衣服で溢れています。毎年およそ45万トンの衣服が新品のまま捨てられているそうです。
自然から生まれた美しい素材や衣服をこれ以上消耗し続けないために、「100 年先も巡る衣服」を目指しています。

和服のような構造でつくる「四角衣服」

布の廃棄をほとんどなくした直線的で折り紙のような構造にすることで、効率よく素材を使うことができます。そして 裁断時の布の切れ端を集め継ぎ合わせることで、新しいものを創造することができます。

素材のほとんどは滋賀県産の「近江麻」

原料である植物「フラックス」はフランス産のもの。糸になるときに中国へ渡り、それが滋賀県愛知市で布地になります。美しく丈夫で職人の力が生きる素材。使うほどに味わいを増し経年変化が楽しめます。

天然染

各地の職人がたった一人で手染めを施しています。染め替え、染め直しも承っております。

ベンガラ染め
岡山県高梁市成羽町吹屋

弥八 世界最古の「あか」とされる岡山県吹屋のベンガラ。それは夕焼けのようで あり浮世絵の色のようでもある。この「あか」は燃えるような赤ではなく、上品 で深みのある独自の優しい色を放つ。今日も小さな吹屋の町で暖かく丁寧 に染め上げられている。

柿渋染め 岐阜県山県市
岐阜の風

黒は闇の色であり、種の色でもある。それは全ての始まりのような深い色。天然染で表現された美しい黒は、岐阜県山県市の伊自良( いじら) 大実柿による柿渋染め。ひとの手で何度も染められることで黒になる。

季節藍染め 長野県伊那市高遠BENYAN 工房

藍染や藍に他の草木染めを混ぜて染色した美しい季節の色。福島県北方 種藍の種まきから収穫、冬の発酵作業までの工程をたった一人で行い染色をしている。平安時代から伝わる染色技法により生まれる、季節に寄り添う 美しい色は毎回異なり、私たちを楽しませてくれる。

お繕い

衣服が100年巡るために必要なのは、正しいメンテナンスをして大切に着ていくということ。
しっかりとそれを繕うこと。(リペア・染め直し)(『糸』で『善い』ことをするを『繕』と書きます。とても素敵な日本語です。)
 作り手は生み出した衣服が捨てられないように努め、100年先も衣服を作り繕える自然環境を守る必要があると考えています。
そして何より大切なのは、持ち主が衣服を「ずっと大切にしたい」と思うこと、そう思われる衣服を作家がつくることです。
何度も繕われて、最後には雑巾になって役目を終えて、また土に還せることを願っています。

open atelier

三重県北部。

いなべ市藤原町はいなべ市のシンボル藤原岳の麓にある町です。

2021年に移住してきた私たちは2023 年より、住まいの敷地内にあるアトリエを解放しイベントや、カフェ営業をしています。

田畑が広がり、美しい庭や水を生かした暮らしが見受けられます。私たちの暮らす藤原町東禅寺というところは、集落内に清らかな水が流れています。
木々と共に鳥たちや、フクロウの声も時々聞こえます。
友人の紹介で出合ったこの場所には明治3年に建てられた母屋を中心に家族や仲間とリノベーションしたアトリエとショップ、開拓予定の森へと続きます。
全てが改築途中ですが、どっしりとして安心できる場所です。(改装などいつでもお手伝いの仲間が来てくれたら嬉しいです)

夕暮れには火を囲んで、天の川もだんだん見えてくる。
優しい風の日も自然の厳しさを感じる強い風の日も、どれも美しく、生きることのリズムを思い出させてくれます。
大人も子供も伸びやかに過ごせて、自分の呼吸、衣服の呼吸、森の呼吸、重なりあっていく実感があります。

みんなでじっくりと作り上げたい、みんなといっしょにゆっくりしたい。
そんな、「実家」のような場所になりたいと思っています。

いつでも帰ってきてください。

toi designs (トワデザイン)


三重県いなべ市藤原町東禅寺609
アトリエと店舗は春から秋にかけて
毎月3日間 期間限定オープンしています。

カフェ営業や敷地内でのイベントに関してはSNSをご覧ください。

デザイナー / 繕う人
 加藤 友美  Tomi Kato

岐阜県出身。環境ボランティア活動を通じ環境やごみ問題などに興味を持ち、ファッションのあり方を考える。石油に変わる資源でもあるヘンプ麻の可能性を知り、名古屋大須にあったヘンプ麻服の専門店「麻芽」を引継ぎ24歳で独立。イベントスペース「サイノメ」も同時運営。2015年30歳まで運営。同年、toi designsをヘルシンキでのファッションショウを機にスタートさせる。2017〜2022年まで名古屋市内で「とわでざいん商店」運営。現在は移住先である三重県いなべ市に移店。期間限定でショップを営業中。